早稲田‐青山‐白金直結!? 環状道路が早稲田通りを横断

「馬場歩き」の時に通ることになる、早稲田通りの西早稲田の交差点。その交差点から、都電の走る新目白通りまでを結ぶ直線で、幅の広い長さ200mほどの道路。こう言えば、どこのことかお分かりいただけただろうか。完成しているように見えるにもかかわらず、未だ使われていないアノ道路を、今回、徹底調査した。

そこで明らかになったのは、知られざる都市伝説的なストーリーであった。


「環七」「環八」。これは、ご存知のように東京の幹線道路の環状7号線、8号線の略称である。ところで、七や八はあるのに、「環五」「環六」という道路は見当たらない。「環七沿いの旨いラーメン屋」とは聞いたことがあっても、「環二沿いの...」とは聞いたことがない。なぜか。

これが、アノ未完の道路の正体を暴くカギである。なんと、あの道路は「環四」、つまり、環状4号線の一部だったのである。

そうは言っても、地図を探してみたところで、「環四」などという道路は見当たらないはずである。それもそのはず、「環四」は、都市計画の中でのみ存在するのである。そして、その都市計画の中には「環四」のみならず、普段耳にすることのない「環一」から「環六」まで、ちゃんと揃っている。


それでは、早稲田のアノ未完の道路が、その一部となる「環四」の全体像を明らかにしよう。

「環四」は、品川駅付近(港区高輪)から、東西線の南砂町駅付近(江東区南砂)に至る、壮大な環状道路である。そのルート上には、白金、広尾、西麻布、青山、神宮外苑、早稲田、護国寺、駒込、日暮里、三ノ輪、亀戸などの街がある。まさに、山の手から下町までをグルッと一回りする道路なのである。つまりは、将来的に早稲田と青山、白金が一本の道で結ばれることになる。神宮球場までだって、一本道で行ける。

計画上、「環四」の一部になる道路として、現在の、外苑西通り、不忍通り、丸八通りなどがある。

では、「環四」が全て完成する「将来」とは、いつであろうか。結論を言うと、最終的な完成の時期は、目途が立っていない状況であるとのこと。現在は、部分部分の整備が行われているのみであるようだ。

「環四」のルートをより詳しく見てみると、いかに困難な計画かが明らかになる。まず、早稲田大学周辺を見てみると、例の未完の道路の一方の端は、都電の走る新目白通りを横切り、神田川を渡り、不忍通りと結ばれる。ということは、日本女子大学の辺りまで、巨大な道路が貫くのである。しかし、この中間地点には、現在のところ、住宅地が広がっていて、道路ができそうな様子はない。

さらに計画では、夏目坂も「環四」の計画地に含まれている。夏目坂を、幅数十メートルの道路にするというわけである。付近を見れば商店やら、住宅やら、寺やらが立ち並んでおり、夏目坂の幅を広げる作業は、気が遠くなりそうである。

「環二」「環三」など、他の環状道路についても、「環四」と同様に、困難な箇所が多々あるのが現状である。ちなみに、大まかに言うと、現在の内堀通りは「環一」の一部である。同様に、外堀通りは「環二」、外苑東通りと三ツ目通りは「環三」、明治通りは「環五」、山手通りは「環六」の、それぞれ一部である。


そもそも、このような壮大な計画は、いったい何者なのか。バブル時代の名残か? はたまた、高度経済成長期の名残か? なんと、こうした計画は、50年以上前の戦争終結時までさかのぼる。戦災で、文字通り廃墟となった帝都を復興するために、1946(昭和21)年に決定された「東京戦災復興都市計画」なるものが、この壮大な計画の正体である。さらに言えば、この「東京戦災復興都市計画」は、昭和初期に決定された街路計画なるものを、継承するものとのこと。

つまり、21世紀の東京の道路計画は、戦災復興計画を基礎にしたものだったのだ。当時の計画では、新宿区戸山付近では、幅40mの道路、その両側にそれぞれ幅30mの緑地が整備されるはずだった。合計の幅が100mの道路ということである。幅100mということになると、名古屋あたりでは「100m道路」などと観光案内に載っているように、名所たりうる規模である。戸山といえば、言わずもがな、現在の文キャン、国立国際医療センターがあるエリアであるから、「100m道路」はとても想像できない。


戦災復興計画の一環として計画された道路は、東京の区部で約1700kmに及ぶとのこと。現在、その完成率は、ようやく50%を超えたあたり。単純に考えると、50年で計画の半分が完成した訳で、全てが完成するためには、少なく見積もって、あと50年。いや、実行が難しい部分が残されていること、財政的なことなどを考えると、50年では足りない可能性も大きい。

こうした壮大な計画は、二十歳そこそこの、今の学生が生きているうちに完成するのだろうか。「孫と一緒に環四にドライブでも行きますか?」、そんな果てしなく気が長い話かもしれない。