初めての♥ガマ油トリップ

ガマの油は天然のLSDである。しかも合法だ。

今年6月からマジックマッシュルームが非合法になった。友達がせっせと買いだめしていた。良識的な先生方は、頭をラリパッパにして変な幻覚を見たり、現実逃避をするのはけしからんとおっしゃる。そんな暇があったら、真面目に勉強して真面目に働きなさいとおっしゃって、魔法のきのこを規制なさった。国民は正常な判断能力がないバカばっかりなので、変な薬をつかったら中毒になってまわりに迷惑をかけるに決まっている。だから我々が規制してあげるのだ、ということである。私たちには責任能力なんかあるわけがないということか。それでは、もう日本で合法的にトリップすることは出来ないのだろうか?いや待て。まだあいつが残っているじゃないか。そう、ガマ油である。

ガマ油とはつまり、ひきがえるの毒である。よくガマの油売りが売っているおみやげ用のなんこうは、実はガマ油が入っていない。ニセモノである。本物は救心や六神丸などの気付け薬に入っている。正式名称はセンソといい、漢方薬店などでも売っているらしいが、劇薬に指定されており入手は困難である。昔は忍者が止血剤などに使っていたという。

実はこのセンソにはLSDやマジックマッシュルームのような幻覚作用があるらしいのだ。主成分のブホテニンという物質に幻覚作用がある。近所の公園で夏の夜に見かける、あの気持ち悪い生き物で七色の世界にトリップできるというのだ。

しかし、うわさばかりで真偽の程は定かではない。他のドラッグに比べて資料も情報も圧倒的に少ないのだ。試そうにも気持ち悪がって誰も試そうとしない。よし、それなら私が試してみようじゃないか!

ブホテニンはたしてガマの油で本当にトリップできるのか? 私はこの夏ガマ油を経験した。そして大人の痛みというものを知ったのだった……。

捕獲 ついに見つけたカエルの巣!!

まずヒキガエルを捕獲しなければならない。

しかし、一体どこで捕獲すればいいのだろうか。とりあえず以前ヒキガエルを目撃したことのあるT山公園へK君と一緒に向かった。8月の夕方のことである。

「カエルといえば池のほとりだろう」というわけで、池のまわりを探索してみる。池の中をのぞき込んでも、まわりの茂みをかきわけてもカエルの影すら見当たらない。「そうか、ヒキガエルは水辺から離れたところにいるんだっけ」ヒキガエルは乾燥に強く、逆に水が苦手だということを忘れていた。今度は池から離れた草むらや林の中を捜してみる。しかし、いくら捜し回っても一向に見つからない。「おかしいな、この前の夜に来た時はピョンピョン跳ね回っていたのに」ひょっとして、今はカエルがいない季節なのだろうか? この前は雨が降った後だったからたまたま出てきたのだろうか? 不安がよぎる。

やっぱりヒキガエルなんてそんなに簡単に見つかるものじゃないのか。あきらめかけたそのとき……。

「見つけたー!」K君の声がした。いた…しかも二匹。大きさは中くらいだろうか。倒れた切り株をどかしたところに二匹重なるようにして眠っていた。そうか、ヒキガエルは昼間はものの下などに隠れているのか。そうとわかればこっちのものだ。我々は片っ端からものをひっくり返しまくった。そしてついに見つけた。ヒキガエルの巣を

T山公園にある急な坂。そこにある半分土に埋もれたぼろ布をめくりあげた。地面のくぼみのなかに、いるいる! ヒキガエルが七匹。はっきり言ってかなりびっくりした。何せ今まで生きてきてヒキガエルをいっぺんに七匹も見たことなどないのだから。気持ち悪い…。早速ビニール袋の中に七匹のカエルをつっこむ。白いビニール袋の中で九匹もの黒いヒキガエルがうごめく様は、まさに地獄絵図である。これだけ捕獲すれば十分な量のガマ油がとれるだろう。しかし、いったいどうやってガマ油を抽出すればいいんだ?

抽出 ひたすら絞るべし

ヒキガエルを9匹捕獲したはいいが、ガマ油の抽出のしかたなどわからない。それに、ガマ油など見たこともないし、どこから分泌されるのかもわからない。

本などで仕入れた知識によると、 @ニラを無理やり口の中につっこむと嫌がって毒を分泌する。 A目の横にある毒腺をしごくと出てくる。という二通りのやり方があるらしい。そして、出てきた毒を紙などで拭き取ってパイプにつめて吸うのだそうである。

とりあえずニラでもつっこんでみようと思い、ビニール袋からヒキガエルを出そうとして驚いた。何と、九匹ものヒキガエルの体がテカテカと濡れて光っているではないか。「ひょっとしてこれがガマの油か!?」こんなに大量の毒を分泌するとは、何て危険な生き物なんだ。しかし、どうも本に書いてあった話とちがう。ガマの油は白いネバネバした液体だというが、この液体はどう見ても無色透明でサラサラだ。これがただの小便であるということを確信するまでにそれほどの時間は必要なかった。ヒキガエルは頻繁に排尿する生き物なのだ。九匹のヒキガエルがビニール袋の中で大量に排尿し小便まみれになっただけである。まことにばっちい話で申し訳ない。

そのままだと汚いので、ティッシュで体中の小便を拭き取り、ニラを口の中につっこんでみる。確かに嫌がっているのだが一向に白い液体など分泌しない。どうやらニラをつっこんでも無駄のようである。

では、より直接的な方法である目の横にある毒腺をしごくというやつをやってみよう。しかし、「しごく」とは一体どういうことだろう? こするのか? 絞るのか? 目の横にある、この膨らんだ部分が「毒腺」だろうか?

とりあえずその膨らんだ部分をギュッと絞ってみた。「ビュルビュルビュル」おお、出た出た!! 何か白いものが。まるで化膿した にきびをビュッと絞るような微妙な感触である。出てきた毒もまるで膿みたいだ。買ってきたあぶらとりがみを適当な大きさに切って、毒腺の上にはりつけ、ギュッと絞る。まるで鼻をかむような要領でガマ油を採取していく。しかしこのガマ油というやつは非常に粘度が高い。まるで乾きかけのセメダインのようである。あぶらとりがみが指にひっついて、離すのにとても苦労した。

苦労の甲斐あり、ようやくヒキガエル九匹分のガマ油を絞り終えた。けっこうな量である。これだけあればひょっとしたらトリップできるかもしれない

摂取 本当に死ぬかと思った!?

あぶらとりがみで採取したガマ油は数時間すると乾燥して黒っぽくなった。これを細かく刻んで喫煙すればトリップできると書いてあった。さて、どうしようか。

うちにはパイプなどないのでまずはたばこに混ぜて吸ってみることにした。ピンセットでたばこの葉っぱをある程度つまみ出し、空いた隙間に細かく刻んだガマ油を入れ、たばこの葉っぱと混ぜて吸ってみた。…普通のたばこと変わらない。おかしいな。今度はたばこの葉っぱを全部つまみ出し、ガマ油だけで吸ってみた。……全然効かない。

どうやら、ガマ油は燃えが悪いようで、先に巻き紙やタバコの葉が全部燃え尽きてしまうようだ。やはり喫煙ならパイプが一番のようである。

では、経口摂取はどうだろうか? 欧米の方ではトード・リッキングといって、ヒキガエルをなめるらしい。LSDを染み込ませた紙をなめる要領で、ガマ油を染み込ませたあぶらとりがみをなめてみた。……苦い。当たり前である。毒なのだから。しかし本当に吐き気を催す苦さである。必死でつばを飲み込む。思わず戻しそうになる。それでも必死で飲み込む。舌がビリビリにしびれてきた。ものすごく痛い。喉もしびれてきた。背中がゾクゾクしてきて、いよいよ本格的に吐き気を催してきた。ものすごく気持ち悪い。喉の奥が腫れてきて、呼吸をするのが苦しくなってきた。このままいくと喉が締まって呼吸ができなくなるかもしれないという恐怖に駆られた。私は紙を吐き出し、急いで洗面所に行ってうがいをした。うがいをしてもどんどん症状がひどくなっていく。「やばい、本当に死ぬかもしれない」救急車を呼ぶことまで考えた。本当に喉が締まってしゃべれなくなったら医者に何も説明できなくなると思って、紙に「ヒキガエルの毒をなめた」というメッセージまで書いてしまった。結局大事には至らなかったが、本当に久しぶりに死の恐怖を味わってしまった。トード・リッキングは危険なようである。しかし、こいつは良くも悪くも相当強力なブツのようである。

効能 体が伸び縮みする!?

やはり、正統派であるパイプによる喫煙が一番のようである。私は早速パイプを購入した。ちなみに喫煙具には、パイプのほかにボングという主にマリファナ用のいわゆる水タバコがあるが、ガマ油の成分は水に溶けてしまうため、ボングは不向きなのだそうである。

それでは気になるパイプによる喫煙の効果についてであるが、結論から言うと大した事はない。ここまでさんざん引っ張ってきて申し訳ないのだが、アルコールの方がはるかにへヴィーなトリップができるというくらいである。それでは全く効果がないのかというと、そうでもない。具体的に言うと、まず確実に現れる効果として

@ 心臓がドキドキして胸が苦しくなる

A 汗をダラダラかく

B 瞳孔が開いて、白い膜がかかったように世界が見える

C しばらくすると唇と舌と喉がしびれてくる(メーヤウのカレーを食べた時みたいに)

という四つが挙げられる。これらは身体的な効果のため、思い込みという主観的な要素の入る余地がないぶんかなり確実に現れる効果であると言うことができる。

次に心理的・感覚的な効果であるが、こちらはなにぶん思い込みという主観的要素に左右されやすいため、あまり確実ではない。「〜のような気がした」という程度のものと考えていただきたい。

@ 頭が少しボーっとする感じ(単なる酸欠かもしれない)

A 光によく反応するようになる

B 何となくハイになったような気分

C 体がだるくなってへたりこむ

D 風をひいて寝込んだ時に現れるような変な感じ(言葉ではうまく説明できない)

残念ながら、七色の光が見えたり、誰かの声が聞こえたり、自分の体がバラバラになってスープに溶けたり、ものが動いて見えたり、まぶしい光にさらわれたり、360度まわりの風景が見えたり、神様と遭遇したりという劇的な効果は現れない。効果は主に身体感覚となって現れるようである。少なくとも私の場合であるが。

具体的に私の体験を言おう。仰向けになって目をつぶる。頭のてっぺんからつま先まで意識が届いている。自分のからだを異常に小さく感じたり、逆に大きく感じたりする。自分のからだがビョーンと伸びたり、ねじれたりする。魂が半分体から出ているような感じがする。体が沈み込むくらい重くなるように感じる。などの効果が現れた。気のせいと言ってしまえばそれまでだが。

ちなみに、ドラッグの効果というものは人それぞれらしい。酒に弱い人と強い人がいるように、ドラッグの効果というのは人それぞれらしい。酒に弱い人と強い人がいるように、ドラッグの効きかたも千差万別であるらしいのだ。私にはいまいち効かなかったが、貴方にとってはぶっとびかもしれない。また、私のやり方は全くの自己流なのだが、本当はもっといいやり方があるのかもしれない。それぞれ自分なりの方法で試してみるのもいいだろう。ただしon your own riskで。

まとめ POT式ガマ・トリップ・マニュアル

@ カエルは夜捕まえろ
ヒキガエルは夜行性である。本編では夕方だったが、本当は夜の方が捕まえやすい。池のある比較的大きな公園ならどこにでもいる。月の光も差し込まないような林の中などをピョンピョン跳ね回っている。
A たくさん捕まえろ
大きいカエルなら一匹で一回分くらいのガマ油が取れるが、普通サイズなら最低3匹は必要である。たくさん捕まえよう。私は20匹捕まえたこともある。毒を絞り取っても、二〜四週間するとまた回復するので、元の場所にかえしてあげよう。
B タバコの巻き紙で絞り取れ
本編のようにあぶらとりがみでも別にいいのだが、タバコの巻き紙の方が好ましい。タバコの巻き紙は合法ドラッグの店などでジョイント用として売っている。あらかじめ1 幅くらいに切っておき、毒腺の上に貼り付けて絞り取る。この時あまり欲張って一回でたくさん絞り取ろうとしてはいけない。手についてベトベトになるし、乾いた時に燃えにくくなってしまう。適量を数回に分けて絞り取るのが望ましい。
C 乾燥させる
ガマ油は数時間で乾燥して黒っぽくなる。搾り取った紙片を入れておくための袋や小箱などを用意しておこう。
D 可能な限り細かく刻め
ガマ油はただでさえ燃えにくいので、可能な限り細かく切り刻む。そのまま切り刻むと紙が散って効率が悪いので、フィルムケースなどに入れてはさみでジョキジョキ切り刻む。できれば粉状になるくらいまで切り刻むのが望ましい。
E 深く煙を吸い込み、可能な限り息を止める
細かく切り刻んだガマ油をパイプにつめたら、火をつける。ただ、ガマ油は燃えが悪く、すぐに火が消えてしまうことがある。そんな時は、ちゃんと燃え始めるまでライターであぶるような感じで火をつける。煙は肺の奥まで深く吸い込み、できるだけ息を止めてみる。非常に苦しく、涙がボロボロ出てくるが我慢しよう。瞳孔が開いて世界が白っぽく見え始めたら効いてきた証拠だ。